「好き」を見つける 体験型イベント「N-ARCH(エヌアーチ)」
こども場所「N-ARCH」について
長崎市で活動するADAPTATIONが取り組む、体験型アフタースクールイベント「N-ARCH」。
ADAPTATIONは「教育の力で長崎からワクワクする未来をひらく」を掲げ、N-ARCHでは、教育・家庭・地域が協働しながら、子どもたちが自分の「好き」と出会う機会をつくっています。
2026年7月26日に矢上幼稚園で開催された「N-ARCH -summer-」を取材しました。
会場では、サッカー、ダンス、ネイル、食、サイエンスという5つの「ラボ」が開かれ、子どもたちが興味のある体験に挑戦していました。
「好き」を見つけるために、まずはいろいろやってみる
N-ARCHを主催する中村慧亮先生が大切にしているのは、子どもたちがさまざまな経験を通して、自分の「好き」を見つけることです。
「気軽に参加できて、いろいろなことを体験できるようにしたい」と中村先生。
自身も学校教員として働き、子育てをする中で、放課後の時間をもっと充実させられないかと考えてきました。現在は長期休みを中心に開催していますが、将来思い描いているのは、学校から自然とつながり、子どもたちが放課後に自分の好きなことを選んでできるような場所です。
5つのラボで、いろいろな大人が子どもたちの先生に!
この日のN-ARCHでは、それぞれの経験や専門性を持った大人たちが先生となりました。
元プロサッカー選手の飯尾先生は、自身も子どもの頃から多くの大人に支えられ、夢をかなえることができた経験から、「今度は自分が次の世代に伝えていくことも大切」と話します。
サッカーを始めると、最初は人見知りをしていた子や自分を表現することが苦手な子も、シュートが決まって喜んだり、点を入れられて悔しがったりと、少しずつ感情を表すようになるそうです。
「できることを、できる範囲で、伝えられることを次の世代に伝えていく。それも大切なのかなと思います」
これまでの経験そのものが、子どもたちへの新しい体験につながっています。
普段から小学生から社会人まで、幅広い世代にダンスを教えているLeo先生。
ダンス教室には最初から「ダンスをしたい」と思って来る子が多い一方、N-ARCHには、たくさんの体験の中から「ちょっとダンスをやってみようかな」という気持ちで参加する子もいます。
この日のラボでも、最初は緊張して表情がこわばっていた子が、最後には楽しそうに踊る姿が見られたといいます。
「上手い、下手は後から考えればいい。まずは体を動かすことや、仲間と一緒に踊ることを楽しんでほしい。『自分ってこんなこともできたんだ』という新しい発見が、自信や可能性につながればと思っています」
「やったことがない」から、「やってみたら楽しかった!」へ。
そんな入口をつくるのもN-ARCHの特徴です。
人気を集めていたネイルラボ。
YUKA先生はネイリスト。もともと子どもたちに何かを教える仕事をしているわけではありません。
「他の先生たちのように教育者として何かを教えることはできないけれど、まずは楽しめたらいいかなと思っています。ネイルを通して子どもたちと触れ合う機会もなかなかないので、自分にとってもすごくいい経験です」
大人の「好き」や得意なことも、子どもたちにとっては新しい世界と出会うきっかけになります。
小学校栄養教諭の一瀬先生と、幼稚園管理栄養士の勝矢先生による「ふりかけ研究所〜まぜるとおいしい〜」。
海苔やとろろ昆布などの食材を組み合わせながら、自分たちでふりかけをつくり、食べる体験を楽しみました。
小学校教諭の鈴木先生によるサイエンスラボでは、オリジナルスライムづくりに挑戦!
実際に手を動かしながら科学に触れました。
先生の説明の合間にも、「前につくった時は水を入れたよ!」などのアイデアや意見が飛び交います。一方的ではなく、話しやすく発言しやすい雰囲気で、みんなが大好きなスライムができあがっていきました。
5つの体験ラボの最後には、飯尾竜太朗先生による「夢ラボ」も行われました。
飯尾先生は、プロサッカー選手になる夢をかなえるまでのことや、夢をかなえた後もケガで苦しい時期があったこと、その中で家族や仲間の支えが大きな力になったことを子どもたちに伝えました。
「失敗を恐れず挑戦すること」
「支えてくれる人への感謝を忘れないこと」
「元気にあいさつすること」
夢に向かうことだけでなく、その挑戦を支えてくれる人の存在に気づき、感謝する時間となりました。
保護者の感想:「何が好きかわからない」から始められる場所
参加した保護者からも、N-ARCHだからこそできる体験について声が聞かれました。
2回目の参加だという保護者は
「習い事をさせたいと思っても、何をさせたらいいのか、子どもが何を好きなのかがまだよくわからなくて。まずはいろいろ体験して、その中から自分が夢中になれるものを見つけていってくれたらいいなと思っています」
と話してくれました。
初めて参加し、ネイルとダンスを体験した親子からは、
「家では興味を示していても、実際にどのダンスのジャンルが合うのかまではわからなかったので、今回体験できたことがすごく参考になりました。」
という声も。
知り合いから誘われて初参加した保護者は、
「なかなかこういう経験をさせることができないので、参加してよかった。気軽に参加できました!」
と話してくれました。
まず一度やってみる。
その体験が、こどもの「もっとやってみたい」を見つけるきっかけになっています。
支援の決め手は同じベクトルで話ができること 「場所を開く」矢上幼稚園
今回、N-ARCHの活動場所となったのが矢上幼稚園です。
園長の下神功大先生は、こども一人ひとりに寄り添いながら、その先の人生につながる力を育てることを大切にしています。卒園した子どもたちのその後の育ちも大切にしたい思いで、小学生を対象としたOBキャンプなども続けているそうです。
下神先生は、中村先生との関係についてこう話します。
「こどもたちがこの先どう育っていくのかは、僕らもすごく気になります。中村先生とは、そういう話をしっかりすることができて、『同じベクトルで話ができる』と感じました。同じように子どもたちの未来を想像できる先生に出会えたことは、僕もすごく嬉しかったです。そういうことに使っていただけるなら嬉しい限りです」。
大切な園舎を活動場所として開く背景には、ADAPTATIONへの共感と、確かな「信頼関係」がありました。
今回は、会場を提供するだけでなく、食ラボにも矢上幼稚園の管理栄養士の先生が講師として参加しました。
活動団体自身がすべてを用意するのではなく、地域にある場所をひらいたり、それぞれが持つ専門性を生かしたりすることも、こどもたちの体験を支えるひとつの方法になっています。
もっと多くのこどもたちへ届けるために
活動を続ける中で、課題もあります。
中村先生が特に挙げたのが、運営する側の時間や余力と、活動の情報を子どもや保護者へどう届けるかということです。
現在はInstagramや過去の参加者へのメール、矢上幼稚園から保護者への案内などを活用していますが、「今はまだ知り合いの知り合いで来てくれる子も多い。全然知らない子たちにも、もっと来てほしいですね」と話します。
また、講師への謝礼や保険など、活動には必要な費用もあります。
できるだけ多くのこどもたちが気軽に参加できるようにするためにも、助成金などを活用できれば、さらに参加しやすい活動につなげられると考えています。
こどもの「好き!」「やってみたい!」が見つかる放課後へ
サッカーが好きになるかもしれない。
ダンスが楽しいと感じるかもしれない。
料理やネイル、化学に夢中になるかもしれない。
最初から、自分の「好き」がわかっているとは限りません。いろいろな人と出会い、実際にやってみることで初めて気づくことがあります。
今は、夏休みなどの長期休みを中心に開かれているN-ARCH。中村先生が思い描くのは、いつかこうした体験が、特別なイベントだけではなく、こどもたちの日常の放課後にもある環境です。
学校、家庭、地域にいるさまざまな大人が、それぞれにできる形で関わりながら、子どもたちの「やってみたい」と「好き」を広げていく。N-ARCHでは、そんなかたちを目指した活動が続いています。
N-ARCHのイベントに参加したい方は、以下のページをブックマークしてくださいね。
- こども場所の名前
- 体験型アフタースクールイベント「N-ARCH(エヌアーチ)」
- 住所
- イベント開催地による(過去の開催は矢上幼稚園)
- 開催日
- 年に複数回,長期休みを中心に開催 今後の開催予定はアダプテーションのページをチェック
- 利用対象
- 幼児、小学生、保護者など
- 利用料金
- イベントによる
- 運営
- ADAPTATION
- 利用目的
- 体験を通して「好き」と出会う
- 支援方法
- 講師としての参画、広報、知人へのイベント紹介、場所の提供






