20年つづく 心地いい居場所
こども場所「体験楽習クラブさ〜くる」とは
「体験楽習クラブさ〜くる」は、2025年に活動20周年を迎える、地域で長く愛されてきたこども場所です。
年齢・性別・障がいの有無にかかわらず、誰もが参加できる開かれた場であることが大きな特徴です。
月1回の開催日には、幼児から40代までの多様な参加者(メンバー)が県内各地から足を運びます。
運営を担うのは、代表の吉田伸吾さんと、およそ100名もの大学生や社会人ボランティア(リーダー)。大学生は週2回、放課後に集まって「リーダー会」を行い、前回の振り返りや次回の計画を話し合います。
キャンプやスキーなどの野外活動をはじめ、地域交流イベント、学習サポート、若者の居場所づくりなど、多彩なプログラムを展開しています。
企画から現場運営、情報発信までを学生が主体的に担っていることが、活動の大きな原動力です。
体験楽習クラブ さ〜くる を始めたきっかけ
代表の吉田さんは、長崎YMCAで青少年や保護者、学生ボランティアと向き合いながら、さまざまな活動を続けてきました。
そのなかで、発達支援の親の会との連携を通して、障害の有無や年齢に関係なく、多様な子どもたちが共に過ごし、互いに影響し合いながら変化していく姿に、深く心を動かされたと言います。
「一人ひとりが自分らしく成長していける場をつくりたい」という思いが生まれ、わずか6人のボランティアから「体験楽習クラブ さ〜くる」を立ち上げました。
参加者とリーダーが育ち合う場
中学3年生のメンバーは、「私の“やりたい”という気持ちを大切にしてくれるので、いろんなことに挑戦できています。大学生になったらリーダーになりたいです」と語ります。
小学5年生のメンバーは「話したことのなかったリーダーがやさしく声をかけてくれてうれしかった。どんな人でも温かく受け入れてくれる『さ〜くる』が大好きです」と笑顔を見せました。
一方、リーダーとして活動する大学生も、この場で多くを学び、成長しています。
「ここに入ってから、子どもとの関わりに興味を持ち、学童保育でのアルバイトも始めました」と話す大学2年生。
大学4年生のリーダーは「人前での発表が苦手でしたが、この活動で自信がつきました。『さ〜くる』は、心がホッと安心できる場所です」と言います。
誰もが主役になれる場所
吉田さんは、関わるすべての人が対等な立場であることを大切にしています。
「ここでは、メンバーが『してもらう』立場でもなければ、リーダーが『してあげる』立場でもありません。
子どもだからと軽んじることなく、一人の人として向き合います。同じくリーダーもボランティアとはいえ、一方的に“与える”のではなく、ともに体験を楽しみ、成長していく仲間なんです。」
子ども・保護者・大学生リーダー、それぞれが“ありのまま”の自分でいられる。
そんな関係づくりを続けてきたことが、20年にわたり多くの人に愛されてきた理由でしょう。
心に寄り添う居場所づくり
吉田さんは、子どもたちがどんな場所を求めているのか、日常の中の困難や想いに耳を傾け、分かち合い、共感することを大切にしています。
「継続的に関わるためには、家族の事情やニーズも無視できません。子どもたちが“自分で行きたい”と思える場所を育てていくことが、コミュニティを広げる力になります。
人とのつながりが希薄になりがちな今だからこそ、子どもも大人も、深い絆を求めていると感じます。」
広がる“希望の種
活動の大きな成果のひとつは、ここで育った大学生たちが社会に出たあとも、職場や地域の中で「誰もが安心できる場」を生み出していることです。 子どもに関わる職業を選んだ人や、自ら体験をサポートする団体を立ち上げた人もいます。
「20年の間にまいた種が、今あちこちで芽吹いているのを感じます。次は若い世代が、その可能性をさらに広げてくれると信じています」と吉田さんは語ります。
次世代につなぎたいこと
吉田さん「参加するメンバーの負担を最小限に抑えながら活動してきましたが、特に交通費や施設利用料など、物価高騰の影響が無視できない状況になっています。
そこで、学生たちと一緒に運営や効率を見直したうえで、クラウドファンディングに挑戦するなど、これからの時代に合ったやり方を模索しています。
私自身も年をとっていくので、この思いと運営の中心を、次世代にしっかりとつなげるよう力を注いでいきたいと思います。」
こんな支援を求めています
吉田さん「現在、活動拠点は長崎市が中心ですが、今後は県内全域に活動の場を広げたいと考えています。 各地の大学との連携を深め、地域ごとの学生が主体となって活動できれば、より多くの子どもたちや若者とつながることができます。興味のある方は、ぜひ力を貸してください。」
大学生リーダー「リーダーの人数が増えており、夕方以降に会議や研修などで利用できる広いスペースを求めています。無償、または安価で貸し出し可能な場所がありましたら、ご協力をお願いします。」
- こども場所の名前
- 体験楽習クラブ さ〜くる
- 開催場所
- 長崎市馬町21-1 長崎市市民活動センター
- 開催日
- 野外体験活動 月1〜2回
- 利用対象
- どなたでも
- 利用料金
- プログラムごとに異なります
- 運営
- 代表 吉田伸吾、大学生・社会人ボランティア
- 利用目的
- 野外活動体験、学習サポート、若者の居場所づくりなど
- 支援方法
- 活動拠点拡大のための人的サポート、会議スペースの提供、寄付など










